No.075
バンクーバー探鳥の旅‐シロフクロウとの出会い

 2月26日から3月2日にかけてJTBの格安ツアー「ババンとバンクーバー5日間」に参加しシロフクロウを見てきた。シロフクロウは北極圏で繁殖し、冬季は餌を求めて南下する。北海道にも少数が飛来するようだが見られる可能性は極めて低い。バンクーバーには今冬20羽近く越冬しているとの情報があり、鳥仲間5人で出かけ現地在住の鳥専門ガイドに運転込みで案内してもらった。
 初日は午後からの行動となったが、先ずは空港に近い Reifel 野鳥保護区に直行。Fraser川の河口部にある冬鳥の大集積地で、池や水路にアメリカオシやアメリカヒドリはもとより日本でもなじみのマガモやオナガガモなどが多数越冬している。湿地にはオオキアシシギやカナダガンなど日本では大騒ぎになる鳥たちの姿もある。管理センター横の餌台にはイエスズメやミヤマシトド、キガシラシトドなどスズメの仲間数種が休みなく集まる。ハイイロチュウヒが低空飛行し、アカオノスリとハクトウワシが上空を飛翔し、アメリカキンメフクロウが木の間に身を潜める。広大な敷地と多彩な環境、鳥密度の濃さに驚く。春秋の渡り時は数万のハクガンやシギ・チドリの仲間が加わり一層賑やかになると言う。


イエスズメ

 いよいよシロフクロウ観察ポイントへ。生憎の小雨が降る中、ガイドについて歩く間もなく流木の上に白い姿がポツポツと見え、海沿い1キロほどに20羽近くを確認する。ハリーポッター映画で有名なシロフクロウの野生の姿に感激する。レミングなど餌の増減によって4年周期で個体数が変動すると言い、今年は当たり年のようである。


シロフクロウ(若鳥)

 二日目は Stanley Park からスタート。海に突き出た半島部の公園でダウンタウンに近い。静かな入り江にアラナミキンクロやビロードキンクロ、キタホオジロガモなどの大きな群れ。湖側にはヒメハジロやオオホシハジロ、コスズガモなどの姿。日本に時たま飛来する迷鳥たちで一杯である。林縁ではコマツグミ、ハシボソキツツキ、クリイロコガラなど初めて見る小鳥たちも餌取に忙しい。


アラナミキンクロの群れ

このあと数箇所の公園と川べりや海岸を慌ただしく回り、最後はもう一箇所のシロフクロウ地点に。ここでも流木の上や草の間に点在するが全部で10羽近くいる模様。ナキハクチョウやハクガンも群れる。天候もようやく回復し、暫し鳥たちの世界に埋没し時の経つのを忘れる。


ハクガンの群れ

 最終日は最南部で海鳥を探す。既出に加えハシグロアビとクロキョウジョシギを間近で観察し、カムチャッカ以来となるウミバトにも再会。再び北に戻り公園を幾つか梯子する。バンクーバーはワシカモメ天国であるが、日本にも時々現われるカナダカモメ、クロワカモメに出会う。農林試験所?の構内ではメンフクロウを観察する。日中は葉の密集した木の中央部に潜んでいて姿を捉えるのに苦労する。最後は Maple Flats 野鳥保護区でオウギアイサやアメリカヤマセミなどを観察して3日間のバンクーバー探鳥を終えた。


オウギアイサのカップル

 バンクーバーは稚内よりはるか北に位置するが海流の影響で冬も暖かく、豊かな自然と相まって鳥たちには絶好の越冬地である。渡り鳥や夏鳥も加え年間通じて400種以上が見られている。今回見た鳥は82種、このうち日本でも記録のある鳥は47種である。北極圏で繁殖する冬鳥の多くはアメリカとアジアに共通に分布することが分かる。現地で入手した鳥リストにあるユキホオジロ、シロハヤブサ、ボナパルトカモメなど幾つか宿題を残しているので来年の再挑戦が待ち遠しい。
(06.3.6)
 

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